
T:今度個展があるよね。
G:今回はタカさん(タカ・イシイギャラリー オーナー 石井孝之)のアイデアで、六本木と北参道の二箇所でやるんですよ。まだ...一枚も描いてない(笑)。追い込まれないと力が出ないんです。今日も白いキャンバスがこう、数枚並んでて...
T:キャンバスは張るところから?それとも最近はもう買ってるの?
G:自分でやってます。
T:おぉ!
G:やっぱねー、買うとちょっと張りが甘かったり、横に釘を打たれちゃったりとかね、いろいろあって。
大竹(伸朗)さんじゃないけど、アシスタントはいらないよ。自分でやるよ、みたいな。
T:やれるところは自分でやると。
G:でもKAWSとか海外のアーティストは、みんな「なんでお前は自分でやるんだ?学生とかいくらでも手伝ってくれる人がいるだろ」って未だに言うね。でも「いやー、俺はいいよ〜。気ぃ使って疲れちゃうし、自分でやるよ!」って。
T:ちなみに今あるサイズは何号くらい?
G:えっと、100号と、あとは小さいですね。30号とか。なんか描きやすいサイズ。今回は全部サイズ変えようかと思って。あと、いやらしい意味じゃなくてね、やっぱり東京でやるんで、部屋に飾りやすいサイズにしようと思って、タカさんに言ったら、「そーしよう!いいねぇ、五木田くん!期待してるよっ!」って。
とにかく日本なんで、飾りやすいサイズ。まぁ大きいのももちろん何点かありつつ、結構小さいのもやろうかなとか思って。バラバラにしようかな...もうオムニバスみたいな。やってみないとまだなんともわかんないですけど。
T:それ、いいじゃないですか。やっぱ、僕はアートを買うことを啓蒙したいね。みんなさ、車とか時計とかさ、そういうものになんだかんだ使うじゃない?
G:こないだ僕もインタビューで、「五木田さん、欲しいものないんですか、車とか時計とか」って聞かれて「いや、まるっきりないですね」って。「いや、なんかあるでしょ?」って言われて「ま、レコードくらいですね」って言ったら、その人が大竹(伸朗)さんにもインタビューしてて「あー、大竹さんも同じこと言ってた。『欲しいものがない、レコードしかない』って」(笑)。色々考えたんですけど、本当になくて。プロレスも最近は昔のDVDを買うくらいでほとんど観に行ってないから。

あ、そうそう!メアリー・ブーンから正月早々バンバン電話がかかってきて、俺もインフルで具合悪いし忙しいしで出なかったんだけど、あまりに頻繁に着信があったんで出たら、今年の秋ぐらいにもう一回個展やってくれないかって。
T:えっ!!
G:チェルシーの方のギャラリーじゃなくてアップタウンの方でやりたいと。こないだの9月のショーがすごく良かったし、NYタイムズにも出たし、アートフェアも評判良くて全部売れた。この流れをさらに「one more push」したいとメアリーから電話かかってきて。で、どうしようかなーって思ったけど、うーん、今年の秋ならできるな...「うん、オッケー!」って(笑)。KAWSも同時期にやるみたいで、同時にやりたいと。やりすぎかなー?って思ったんだけど、もういいやーって、何言われても。メアリーが「one more push」っていうのはなんかあるんだろうなーって。
T:そうだよ!僕はバスキア(ジャン=ミシェル・バスキア)とかキース・ヘリングとか、若い時になんかこうワクワクする感じがあったから好きで、そういう作家を扱っているギャラリーで五木田くんが展覧会をやってて、しかも完売だったって知った、あれは3年前くらいだったか。
G:こっちではあまり知られてないのかもしれないけど、実は、ニューヨークで何回か個展やってるうちに、だんだんこう、じわじわ売れるようになったんです。それまでグラフィックデザイナーだかなんだかわからないことやってたんですけど。
T:その頃はまだ食えるか食えないかくらいだったんでしょ?
G:ギリギリですよ、ギリギリ。
T:僕はもう、『ランジェリー・レスリング』でもう大ブレークしたと思ってたのね。でも、ある時ニューヨーク行って、フリーパーパー読んでたら、「あれ、五木田くんじゃん!今こんなの描いてんだ!」って、すごいことになっていたわけ!で、メアリー・ブーンに電話したらもう売り切れでギャラリーにもないと。まじか...とすごいショックで。
それで帰国したら、ハニカムから本を作りたいっていう話があって、対談相手誰がいい?って聞かれて、「五木田くん!」って即答したの。で、川村記念美術館で個展をやるって聞いて、もう絶対追っかけるぞ!って決めて、それからはだいたい追っかけてますよ(笑)
G:だって、ロサンゼルスまで来てくれましたからね、あれは楽しかったですよー。俺のホテルまで来てくれて、Uberで「これからいくよー」とか言って。
G:俺の部屋に、全員40くらいのおっさんなんですけど、金のない仲間が総勢6、7名泊まってたんですよ。毎晩ワイワイやってて、もうガンガン怒られてたんだけど、そこにテイさんが飯とか買って持って来てくれて。みんな未だに言うんですよね、「テイさん...、よかったなぁ...」って。「おつまみ、持ってきてくれたもんねぇ」って(笑)
T:秋、行くわ!(笑)
G:また、レコ屋巡りしましょう。
T:いや、でも本当に、自分がDeee-Liteでデビューした時とかわけわかんなくて、周りは大人ばっかで言われるがままだったわけじゃないですか。だから、今五木田くんがこうね、いい感じになっているのを端から見て、「スゲェな」ってこう、コロコロコロっとブランデーをくゆらす感じですよ。でもそういうことこそ、若い時には想像できなかった遊びなんだよね。
あと、家にも絶対来てよね、今年か来年。うち五木田ミュージアムになりつつあるから(笑)
G:行きたいですよね。何もない時に。
T:まぁ、来年でも再来年でも今年でも全然。まだ死なないんで(笑)
G:なんか、レコーディングしちゃおうかなー(笑)
T:あー、そうね。新ユニット作ろうか(笑)
G:超テクノな音楽とかやりたいな。
T:TTTGとか。
G:あ、それ、いつかやりたい!俺、名前伏せてもいいんで。
T:これじゃバレバレだけどね(笑)
TT x TG